2013年3月15日金曜日

大森沿岸部を歩いたら用途地域とは何かを学べた

場所: 日本, 東京都大田区大森南4丁目
大田区大森の沿岸部、旧森ヶ崎町付近を街歩き。今の住所だと大森南や大森東。 …また、地元の人しか行かなそうな所ですけどね…こういう、鉄道駅が近いとは言えない所に、なぜか興味を持ってしまうんですよねぇ…。

森ヶ崎公園や、大森ふるさとの浜辺公園の風景もしっかりお届けします(^^)/ そして何よりも、この街を歩いたのがきっかけで、用途地域について知ることができました。

蒲田から旧呑川緑道を歩いて



より大きな地図で 旧呑川緑道と貴船堀緑地 を表示

蒲田駅から西へ、旧呑川緑地をたどり、海の近くをめざす事にしました。

旧呑川緑地
旧呑川緑地

前回の都立大学でも、暗渠化された呑川を歩きましたが、このあたりは、海に近いせいか、幅が広いです。 きっと川岸には舟も停泊していたのでしょう… いや、goo古地図で昭和の航空写真を見ると、舟の姿を確認できます。

途中に、呑川の歴史が書かれた案内板を発見。


内容をおこしてみます(例によって一部分からなかった所はご了承を)
旧呑川の由来

この緑地には、近年まで呑川が流れていましたが、昭和三十年代半ばから区が埋め立てを行い、その後昭和五十年には現在のような緑地になりました。
呑川の水源は、世田谷区内の??沢村の南部一帯と言われ、本区をほぼ縦貫して東京湾にそそいで… …の起こりは、大雨のたびに氾濫し流域の田畑を飲み込んでしまったからとも、または貴重な飲み水であったからともいわれていますが定かではありません。
呑川は、はじめは灌漑用水や飲み水として利用されましたが、その後は有名な「大森海苔」の生育に必要な栄養分を運ぶ河川となったり、特に下流は海苔船の交通路としても大切な役割を果たしました。そして在来の呑川が夫婦下流橋付近から北東に蛇行しているのとは別に、昭和十年、羽田の田畑を一直線に東進して藤兵衛堀に至る新河川(新呑川)を設け、従来の呑川と共に活用されました。
しかし付近に住宅や工業が増え、水や海がよごれ、更に肝心な海苔場が東京オリンピックを契機に埋め立てられるにおよび、大森の伝統産業も昭和三十七年に終わりを告げました。

昭和五十九年三月 大田区

呑川の由来は、はっきりしないんですね。
…てっきり、近隣住民が酒飲みだからかと思ってました。…というのは冗談ですよ!

そして想う事は、この案内板は作られてから30年近く経つようで、30年で印刷色がこれだけぬけるんだなぁ…って事と、落書きが低俗…って事。


旧森ヶ崎地区と大森東地区沿岸


だいぶ海に近い所まで歩いてきました。旧森ヶ崎町付近です。 適当に、うろうろしてみます。

準工業地域
準工業地域

この界隈のメインストリート

工場と住宅が混在する地域です。

新築の一戸建てが

左の写真…新築の一戸建てが見えます。ちょうど売り出し中?
高級住宅街の一戸建てと違うのは、やっぱり、へいの有無なのかな… と、再認識。


――旧呑川緑道をわたり、大森東地区へ


貴船堀緑地
貴船堀緑地

それにしても古い看板…

貴船堀緑地も、かつては、水をたたえていた… それを想像しながら、街歩き。


「貴船堀」という名前も、水産業らしいじゃないですか。
貴船堀はすべて埋め立てられたわけではなく、海岸の近くには、たくさんの舟がとまっています。 …けど、現役の舟はどれだけなんだろう?


準工業地域、そして、用途地域とは何か


写真は旧森ヶ崎地区に戻りまして、

住宅と工場が混在する、このような町の事を表す言葉が、きちんとある事を、このはじめて知ったのです。



この看板、この界隈のあちこちで見かけました。 住宅と工場が混在する地域らしい看板だと思います。 この看板のキーワードは、準工業地域。

準工業地域。 この言葉は、この地域の工場で働く人がそう呼んでいるのではなく、法律で定められている言葉なのです。

「…おまえ、そんな事も知らなかったのか!?」と思う方もおられましょうが… 街歩きの後に自宅で、この界隈について検索した際に、はじめて知ったのです。 この国には都市計画法という法律があり、そこでは「用途地域」として12の区分が定められ、準工業地域はその1つである事を。 そして、その土地の用途地域にそぐわない建物を建てる事はできない事を。


以前に歩いた街を思い出してみれば…

例えば、小竹向原では、駅の南北にある低地部分に企業が集中していました。 調べてみれば、そのエリアだけ、準工業地域。 つまり行政が「ここは準工業地域としまーす」と決めたから、あの部分だけ工場が集中していたのですね。
それから、前回歩いた、都立大学駅周辺の高級一戸建て住宅街。 あそこは、第一種低層住居専用地域。 これは、低層と付くだけあって、高層マンションは建てられないし、住居専用と付くからには、工場はもちろんダメだし、商業も厳しくて、コンビニすら建てられない!

都市計画法により、町の風景は行政が決めていた!?


…冷静に考えてみれば、現代は規制緩和や自由化ばかり叫ばれてますけど、この法律が無いと、どこでも好き勝手な建物を建てれるわけで… 住宅の隣に、騒音をまき散らす工場とか、風俗店などができると、住民は困るし、企業側だって、新事業をするにあたり近隣とのトラブルが起こりにくいほうがいいですよね。 

もしマイホームを建てる場所を探しているとすれば、用途地域を確認したほうが良さそう。 もし、準工業地域にマイホームを建てて、その後、隣に、騒音を出す工場ができても、あんまり文句は言えないなぁ。

↓用途地域の12区分について
(国土交通省 みんなで進めるまちづくりの話)
http://www.mlit.go.jp/crd/city/plan/03_mati/04/index.htm

↓東京の用途地域の閲覧
(東京都都市整備局 都市計画情報インターネット提供サービス)
http://www2.wagamachi-guide.com/tokyo_tokeizu/

都内の用途地域もネットで見れる! これも、今後の街歩きの参考にさせていただきましょう~v(^o^)v

森ヶ崎公園


森ヶ崎公園に行ってみました。



下水処理場の上に作られた公園。下水処理場と言っても、現代の科学技術のおかげで、何も不快な所はありません。 むしろ、高い所に作られているので、めっちゃ開放的です。

下水処理場の上に作られた公園といえば、他には、荒川区の荒川自然公園があります。

翼から腕が、にょ~ん 展望台 展望台から公園を


暖かくなってきた事もあり、多くの子供達で賑わっていました。

展望台から望めるのは、人工島の工業地域です。

森ヶ崎公園からの工業地帯ビュー

大森ふるさとの浜辺公園


こちらは、気持ちのよい砂浜の公園で、親子連れやママさんグループ、今時の若者達… やはり多くの人がのんびりくつろいでいました。

大森ふるさとの浜辺公園
大森ふるさとの浜辺公園



…のんびり歩いていると、沖合に、気になる看板を発見。

アサクサ海苔生育観察実験について
アサクサ海苔生育観察実験について


何となく、この公園の存在意義が分かった気がしました(^_^;)

今回歩いた大森沿岸部は、かつて、海苔の生産が盛んで、今ではすっかり埋め立てられた旧呑川緑道や貴船堀緑地にも、昔はきっと、水をたたえ、海苔養殖の舟がとまり、海苔の香りが感じられる町だったのでしょう。

ふるさとの浜辺公園とは… その名前からも、経済成長で衰退した産業と風景に対する懐古と復活…そんな願いが込められた公園なのだと思います。 公園内には海苔の資料館もあるようですし。


…でも、大森の海の向こうは、すっかり大規模工業地帯ですし、いくら昔に戻りたくても戻れないはずなんですけどねぇ… なぜ大田区はそんなに海苔を復活させたいのでしょう?

その理由は、中央防波堤の帰属問題と関係があるのかも。中央防波堤は、江東区と大田区双方が一歩も譲らない、東京都の領土問題。 大田区の主張は「かつてそこで海苔の養殖をしていたから」でありますから、海苔が復活すれば、その主張が強くなるわけで。


今日も最後まで読んでくださり、ありがとうございました!



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